従来の文献レビューは、特定のトピックに関する様々な出版物や研究をまとめる研究方法として、長年にわたって使用されてきました。英語ではliterature review、他にはnarrative review(ナラティヴ・レビュー)と呼ばれています。
文献レビューとシステマティックレビューの中間に位置しているのがスコーピングレビューとされていて、スコーピングレビューと対比すると、従来の文献レビューは下記のようになるでしょうか。
- 先験的なプロトコルに基づかない。
- 体系的であり、多くの場合、情報の徹底的な検索を含まない場合もある。
- 透明性、再現性を要求されるわけではない。
- 信頼性を高めるための手段を含まない(複数のレビュアーを含めないなど)。
- データが構造化された方法で抽出され、提示されないこともある。
とはいえ文献レビューもトピック、問題、コンセプトに関する歴史や重要性に焦点を当てた概念的または理論的な内容に加えて、研究報告書を調査することになる点では、他のレビューと同じです。ただし文献レビューは、著者の既存の知識や経験に大きく依存し、通常、取り扱う研究のトピックについて網羅的かつ体系的な要約を提示しないため、主観的と見なされることがあります。
これらの限界にかかわらず、従来の文献レビューは、先行研究を照合してまとめ、トピックや課題の大まかな概要を提供できる意義があり、まだ価値があると思われます。
学術的な目的のための文献レビューへの取り組み:文献レビューチェックリスト
Approaching literature review for academic purposes: The Literature Review Checklist
Debora F B Leite et al. Clinics (Sao Paulo). 2019 Nov 25;74:e1403.
doi:10.6061/clinics/2019/e1403.
本論文では、文献レビューについて国際的に明確なガイドラインは存在しないとしつつ、学生の学位論文においても役立つ文献レビューの進め方(Figure1)や文献レビューを評価するための12項目のチェックリストを紹介しています。
文献レビュー評価のためのチェックリスト
適用範囲
1.レビューに含める文献と除外する文献について、正当な基準が存在する
統合
2.その研究分野の現状を批判的に検証したものが存在する
3.テーマや問題が、より広い学術文献の文脈の中に明確に位置づけられている
4.文献レビューが、その分野の歴史的文脈の中に批判的に位置づけられている
5.定義の曖昧さを考慮し、解決している
6.研究トピックに関連する重要な変数や現象が明確にされている
7.文献を総合した新しい視点が確立されている
方法
8.この分野で使われてきた主な方法論と研究手法を明らかにし、その長所と短所を論じている
9.その分野の思想や理論が、研究方法論に関連している
意義
10.研究テーマの学術的意義が合理的に説明されている
11.研究テーマの実践的意義が合理的に説明されている
レトリック(表現)
12.文献レビューが、レビューを裏付ける首尾一貫した明確な構造で書かれている
ちなみに上記12項目を全てクリアする必要があるわけではないと本論文では述べています
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