科学的に産み出されたものを研究論文として発表することは、研究者にとって喜びであると同時に社会にとっても重要なことです。
それは看護学にとっても同様です。
最近では、紙媒体での冊子形式からインターネット上で自由に読むことができる電子媒体のものも増えてきました。ただ論文を発表しているのは「個人(やグループ)」であっても出版しているのは、学会であったり民間業者であったりするのは今も昔も変わりません。
看護に関する研究論文を発表している雑誌には、どんなものがあるのだ?
一体、どのように探せばいいのだ?
家電のように研究にも商品のクオリティに差があるのではないのか?
研究者でなくても、ググってしまえば研究論文に簡単にアクセスできるようになっていますが、いまいち分かるような分からないような、研究者にとっても一般の方にとっても届きづらい部分があるのは、今も昔もあまり変わらないように思います。
雑誌を評価する指標:インパクトファクター(Impact Factor : IF)
研究雑誌(以下ジャーナル)を、一流なのかゴミなのか客観的に評価する指標として用いられているものがいくつかあります。 インパクトファクター(以下IF)と呼ばれるものがその一つで、科学的貢献を測る指標として導入されています。そのジャーナルに2年間掲載された論文1本あたり、のべ何回引用されたかを測っています。
とある雑誌で2019年5本、2020年にも5本の計10本の論文が発表されたとします。 その10本に対して、2021年に何本の論文が引用されたかでIFは計算されます。 仮に、2021年に20本引用された場合は、IFは2.0となります。
では看護研究におけるジャーナルのIFはどのようになっているのでしょうか。 定期的にIFの情報を更新しつつまとめてくれているクラリベイト(Clarivate)のJournal Citation Reportsというサイトがありますが、誰でも自由にアクセスできるわけではありません。
ここでは先行研究(Cáceres M et al,2014 )をもとにそれぞれの雑誌サイトにアクセスし、そこで確認できた2020-2021年の看護系ジャーナルのIFを見てみることにします。
TOP3は下記のようになっていました。
International Journal of Nursing Studies(IJNS).ISSN:0020-7489, IF5.837
European Journal of Cardiovascular Nursing(EJCN).ISSN:1474-5151, IF3.908
Journal of Family Nursing(JFN) ISSN:1074-8407,1552-549X IF3.818
これが2021年における看護界のジャンプ、マガジン、サンデーということになります。女性誌で言ったら、with(ウィズ)、ar(アール)、NYLON JAPAN(ナイロンジャパン)、メイク&美容雑誌で言ったら、美ST(ビスト)、VoCE(ヴォーチェ)、美的(ビテキ)等になるでしょうか。 とにかく多くの方の目に留まっているのは間違いありません。
しかし、IFは雑誌を測る指標であって、研究そのものや研究者の業績価値を測るものではないことは注意が必要であると様々なところで議論されています。 また各分野の研究者人口、論文の引用動向、論文発行数などの影響も受けてしまいますので、あくまで1つの指標と捉える姿勢が重要だと思います。
このサイトでは、看護学を学び始めた方々、研究を始める大学院生、面倒くさいけど研究をしないといけなくなった臨床におられる看護職の方々の1ミリでも役に立てば涙するという思いで、看護に関する研究を紹介していこうと思います。
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