褥瘡予防に対する看護師の姿勢および認識された障壁
Nurses’ attitude and perceived barriers to pressure ulcer prevention
Etafa et al. BMC Nursing (2018)
https://doi.org/10.1186/s12912-018-0282-2
褥瘡は、通常、圧迫または剪断との組み合わせによって、骨隆起部の皮膚または下部組織への局所的な損傷と定義されます。褥瘡・傷害の発症リスクとして、高齢、不動、失禁、栄養・水分補給不足、神経感覚障害、機器による皮膚圧迫、複数の併存疾患、循環器系の異常が挙げられています。
先行研究では、看護師の褥瘡予防に対する否定的な態度が褥瘡の有病率を増加させることや看護師の否定的な態度は、スタッフ不足、時間不足、知識不足、設備不足に影響される可能性があることが報告されています。
エチオピアでは、看護師の褥瘡予防に対する姿勢と認識されている障壁を調べるための同様の研究は行われていない ことから、この研究はアディスアベバの公立病院における看護師の褥瘡予防に対する姿勢を評価することを目的に実施されました。
研究デザイン
横断研究
対象:公立病院6施設より抽出された看護師252名
評価項目
- Pressure Ulcer Attitude Test(5点リッカート尺度)
- 褥瘡予防プロトコルを実施する際の看護師の障壁に関する質問(「はい」または「いいえ」で回答)
- 人口統計学的情報(年齢、性別、臨床勤務経験、教育レベル、褥瘡予防に関する研修を受けているか、それに関する研究論文を読んでいるか)
結果と一言
尺度による褥瘡予防への看護師の意識は、半数以上が否定的(ケアの優先順位が低いなど)であったにも関わらず、治療より予防のほうが優先度が高い、褥瘡は避けられるべきであることなどを考えていることが示されています。
著者の結果と考察では、約70%の看護師がリスク評価ツールよりも臨床判断が優れていると考えていると述べられています。しかし結果を見るにこれは逆である可能性があります(表2)。 自分の臨床判断の方が優れていることに「同意していない(disagree)人」の方が56.2%と半数を超えているように見えます。
結果から素直に考えれば、エチオピアでは褥瘡予防の重要性は認識している。しかし極端な知識不足や研修機会が欠如しているといった状況ではなくHeavy workload and inadequate staff(仕事量の多さとスタッフ不足)により、なかなか手が回らないことが推察されます。
著者の言うように医療機器といった資源の不足など途上国の特徴も踏まえて他の国々とどう異なるか見ると同時に、実際の褥瘡発生との関係も見ていく必要があるのかもしれません。