成人救命救急環境における家族の転帰を改善するための看護師主導の家族介入のエビデンスベース:混合システマティックレビュー
The evidence base of nurse-led family interventions for improving family outcomes in adult critical care settings: A mixed method systematic review
Frank Kiwanuka et al. Int J Nurs Stud.2022Jan;125:104100.
hhttps://doi.org/10.1016/j.ijnurstu.2021.104100
COVID-19の大流行により、患者が重症患者として入院した際の病状が悪化し、家族は例年以上に心理社会的な問題に直面することになりました。そのため、看護師やその他の医療従事者は、重症患者の家族を支援するための介入策を常に把握しておく必要があります、ということで行われたレビュー研究です。すなわち研究のテーマ(リサーチクエスション)は「重症患者の家族を支援するための有効な介入策は何か?」です。
Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analysis(PRISMA)のチェックリストに従った混合法によるシステマティックレビューです。
論文検索は、関連データベース(PubMed、Scopus、Cumulative Index of Nursing and Allied Health Literature、Cochrane Library)のスクリーニングと、関連論文の引用文献のスクリーニングの両方を実施しています。そして期間は2010年1月から2020年10月の間に英語で発表された研究を対象とし、最終的なデータベース検索は2020年10月20日に実施しています。
救命救急における看護師主導の介入の家族アウトカムを定性的または定量的手法のいずれかによって記述した研究が対象となっています。また本レビュー研究には定性的または定量的知見のいずれかが含まれているため(つまり両方)混合法システマティックレビューとなります。
2つの試験、8つの準実験的研究、4つの質的研究、1つの混合法の合計15件の研究が基準を満たしました。
記載された介入は、教育的または情報的、家族のケアへの関与、日記、コミュニケーション、および一括アプローチの5つのカテゴリーに整理されています。その中で看護師主導の介入で、家族の転帰に小~中程度の改善をもたらしたものには、デジタル媒体を用いた教育的介入、総合的なアプローチ、情報提供、看護師主導の感情的サポートだったということです。ただし、ICUにおける家族回診を調査した2つの研究では、このアプローチは家族のアウトカムに顕著な影響を及ぼさなかったと報告しています。
「このレビューで評価された介入内容、ツール、アウトカムの違いは、家族のニーズの多様性を反映しており、クリティカルケア環境における家族の健康を促進するために、すでに多くの介入が開発されていることがわかる。」と研究は結んでいますが、結果的に何が有効そうなのか、もう少し踏み込んでほしい気もします。
今後は家族の転帰を評価している指標の違い、介入策の構造的分類など今後は考察を深める必要があるのかもしれません。
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