アトピー性皮膚炎患者のケアと管理における看護師の役割

総論

アトピー性皮膚炎患者のケアと管理における看護師の役割
The role of the nurse in the care and management of patients with atopic dermatitis
van Os-Medendorp H, et al. BMC Nurs. 2020.4;19(1):102.
doi:10.1186/s12912-020-00494-y

アトピー性皮膚炎(AD)の疾病管理は、さまざまな医療環境(プライマリーケア、デイ・クリニック、セカンダリー/テタリー・ケア)で提供されています。
看護師による患者へのコンサルテーションは、疾患の評価、患者教育、精神的なサポートなど、さまざまな側面を扱いますが、現在のところ、そのような標準的なテキストは存在せず、また、どのような重要な要素を含むべきかについてのコンセンサスもないことから、本論文はレビューされています。

ちなみに想定としているAD患者は、中等度から重度の患者さんです。

本論文では大きく、6つのトピックに分けてこれまでのエビデンスを整理しています。

  • 患者を中心としたケアチームにおける看護師の役割
  • 臨床管理の概要
  • 治療の側面
  • ウェルビーイングの推進
  • 患者教育
  • イーヘルス(eHealth)戦略
アトピー性皮膚炎診療における皮膚科専門看護師の役割の概要

そのうち、「患者を中心としたケアチームにおける看護師の役割」Role of the nurse in the patient-centered care teamについて簡単に紹介いたします。

看護師は、しばしば患者(およびその家族)と主治医および他のチームメンバーとの間の主要な連絡役(調整役)として、ケアの継続性を支援する役割があります。その時の基本的な姿勢は、治療と自己管理における役割について、患者の現実的に目指す治療成果(期待)を確立し管理することが基本となります。

患者(および子供の親)によっては、これらは大きく異なる場合があります。
親や患者の中には、非常に意欲的で情報通の人もいれば、情報を求めたり適切な臨床管理を受けることに消極的であったり慎重な人もいます。また、医療チームからの指導に完全に依存する人もいます。
治療初期の頃は、病気の経過や患者さんの経験、年齢によって特に変化する可能性が高いです。
疾患の各段階における個々のニーズに基づき、提案された治療法の有効性、安全性、適合性を含む、疾患の状態に関する最も適切で現実的な情報を提供することが極めて重要となります。

例えば、スキンケアや外用療法の適用には時間がかかり、患者の不満が治療アドヒアランス不良の一因となりますが、支援と教育によって克服できる可能性があります。 中等度から重度のADの慢性的な再発という性質をよく理解し受け入れたとしても、患者は当然、状態が悪化した際には失望を感じてしまう場合もあるため、看護師は安心と希望を与えることと、患者が疾患サイクルや治療法の変更に適応できるよう導く役割が重要となります。患者には、治療の増量は効果的で必要な戦略であり、しばしば疾患の悪化を抑制するための一時的な手段としてのみ必要とされることを伝え、理解させる必要もあるかもしれません。

情報提供の目的は、治療経過や進捗に対して患者に自信を持たせ、患者や親の側の混乱や誤解を最小限に抑える必要があるためです。疾患とその管理に関する教育、心理学的および行動プログラムを含む包括的な取り組みや介入は、患者の服薬アドヒアランスを向上させ、中等度から重度のADの転帰にプラスの効果をもたらす可能性が報告されています。

まとめ

紹介した内容はアトピー性皮膚炎の看護ガイドラインではなく、あくまで最近までの報告をまとめたレビュー論文です。
そもそも海外からの報告ですし、場合によっては参考になる部分(治療処置の側面など)とそうでない部分もあるかもしれませんが、その分野に方々は知っておいて損はない印象を受けた論文でした。

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